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2022.11.28

離婚に伴う不動産売却の基礎知識|財産分与の流れや注意点とは?

離婚に伴う不動産売却の基礎知識まとめ

離婚時に多くの夫婦が直面する財産分与問題。現金であれば簡単に分けられるものの、土地や家といった不動産は簡単には分けられません。夫か妻、どちらかが住み続けるという選択もできますが、「一緒に暮らしていた家には住みたくない」「現金化して分け合いたい」といった理由から、家の売却を希望する声が多く寄せられています。

そこで今回は、離婚時に家を売却したい方に向けた不動産売却のポイントをご紹介。住宅ローンが残っている方でもスムーズに売却できる方法をご案内します。売却方法や流れだけでなく、注意点もチェックしていきましょう。

離婚時に持ち家を売却する方法

離婚を機に持ち家を売却すると決めたら、まずは住宅ローンの返済状況を確認しましょう。住宅ローン残債の有無や金額によって、不動産の売却方法が変わります。

住宅ローン残債の有無による売却方法の違い

住宅ローンが残っていない場合は、「仲介」と呼ばれるポピュラーな方法で不動産を売却することができます。仲介とは契約した不動産会社に売却活動を依頼し、購入希望者を見つけてもらう方法です。査定から売却完了までは平均6カ月ほどの期間を要します。

そのほかに、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」という手段もあります。スピーディーに家を手放すことが可能で、即現金化できるのがメリットですが、買取価格は相場の7割ほどになることも忘れてはいけません。時間に余裕がある場合は、より高値で売れる「仲介」での売却がおすすめです。

一方、住宅ローンが残っている場合は、どのくらいの金額で売却できるかによって状況が大きく変わります。家を売却する際には抵当権(金融機関が土地・建物などの不動産を担保にする権利)の抹消を行う必要があり、それには住宅ローンの完済が前提条件となるからです。

住宅ローンが残っている場合の売却方法

ここからは住宅ローンが残っている場合の売却方法について、詳しく見ていきましょう。

住宅ローンの返済が残っていると分かったら ①家と住宅ローンの名義人 ②住宅ローンの残高 の2点を確認します。住宅ローンの返済中でも、事前に準備を進めておくことでスムーズに家を売ることができます。

【ローン返済中の売却方法1】家の売却額>住宅ローン残債のケース

住宅ローンの残債が家の売却額を下回ることを「アンダーローン」と呼びます。この場合は、売却で得た利益でローンを一括返済できるため大きな問題はありません。売却金額がローンの残債を下回る場合でも、足りない金額を自己資金でまかなうことができれば同じように売却することが可能です。

この場合、売却で得た利益で住宅ローンを完済し、仲介手数料や抵当権抹消登記費といった経費の精算が済んだら、手元に残った金額を財産分与として分け合うのが一般的。財産分与は夫婦で2分の1ずつ分けるのが基本ですが、必ず半分にしなければいけないわけではないので、お互いの合意を得られれば自由に金額を決められます。

【ローン返済中の売却方法2】家の売却額<住宅ローン残債の場合は任意売却

住宅ローンの残債が家の売却益を上回ることを「オーバーローン」といいます。家を売却してもローンを完済できない場合、抵当権を抹消することができないため、残念ながら通常の方法で家を売ることはできません。

この場合、住宅ローンを借りている債権者(金融機関)の合意を伴う任意売却という手段を採用することになります。ローン滞納によって裁判所の権力で強制的に不動産売却を行う競売とは異なり、不動産の所有者が主体となって売却を進めることができます。

ただし、任意売却には住宅ローンを遅延・滞納していることが必須条件となるので、わざと遅延・滞納しなければいけないという点も。つまり、任意売却をする過程でローン滞納の記録が残るので、信用情報に傷がつき、新たにクレジットカードを作ったり、金融機関から融資を受けるのが難しくなってしまいます。

また、一度遅延・滞納をしてしまうと任意売却できる期間は限られてしまうので、確認しておきましょう。もちろん、残った住宅ローンについては支払い義務がなくなるものではなく、離婚後も返済が必要です。

こうしたデメリットを考えると任意売却はできるだけ避け、売却と同時に住宅ローンを完済する資金を捻出することが得策といえるでしょう。

住宅ローンが残っている家を売却する手順

住宅ローンの残債や権利関係を整理・把握したら家の売却を進めていきましょう。こちらでは、仲介で家を売却する流れを解説します。

Step1.不動産会社に査定を依頼する

不動産会社に査定を依頼し、いくらくらいで売れるかを確認しましょう。不動産の価格査定には、データを元に概算する机上査定と、実際に物件を調査して価格を割り出す訪問査定の2種類があります。まずは、複数の不動産会社による机上査定でざっくりとした見積もりを、続く訪問査定でより正確な査定額を確認しましょう。

Step2.家の売却価格を決める

査定額の根拠や担当者の対応、売却プランなどを確認し、信頼できると判断した不動産会社と契約を結びます。続いて、提案された査定額をもとに売り出し価格を決定します。多くの場合、購入希望者から値引き交渉が行われるため、査定額にやや上乗せした金額に設定するのが一般的です。あらかじめ不動産会社の担当者と、いくらまで値下げできるか(=最低売却価格)を決めておくと、売却活動を進めやすくなります。

売却後にローンを完済できる金額に設定できればベターですが、不動産は相場からかけ離れた金額で売れることはないので、無理に高値をつけてしまうといつまでも売却できない恐れもあるので注意しましょう。

この時、売却金額が住宅ローンの残債を大きく下回る場合は、住宅ローンを組んだ金融機関との相談が必要です。

Step3.売却活動・内覧の受け入れ

売り出しが始まると業者が物件の宣伝を行い、希望者が現れた場合には内覧を行います。この売却活動期間は対象となる物件の種類によって異なり、比較的売れるまでの期間が短いマンションであれば2カ月半、物件ごとの個性がでやすく比較・検討に時間がかかる戸建て住宅では3カ月強といわれています。

詳しくは「不動産の売却にかかる期間はどのくらい?売却スケジュールが長引く理由とは?」で解説していますので、合わせてご確認ください。

Step4.買主と売買契約を結ぶ

物件の購入希望者が見つかり、売主・買主双方の合意が得られれば売買契約を結びます。売買契約から引き渡しの期間には特に決まりはありませんが、双方の事情によって1カ月を超えることもあります。物件に住みながら売却活動を行っていた場合は、この間に荷物の整理や退去の準備を完了させましょう。

離婚による家の売却で気をつけたいトラブル・注意点

最後に、離婚による家の売却で起こりがちなトラブルをご紹介します。注意点を踏まえた上で、2人が納得できるように協議を行いましょう。

住宅ローンが残る可能性が高い

上の項目で、住宅ローンの残高と売却額の関係について解説しましたが、建てて間もない一戸建ての場合は売却しても住宅ローンが残るケースも珍しくありません。複数の不動産会社に査定を依頼した上で、なるべくローンの残高に近づけるよう売却金額を設定しましょう。

不動産の名義人以外は売ることができない

不動産売却の際に、まずチェックするべきポイントとして「住宅ローンの名義人」を挙げました。不動産の売却は、基本的に名義人でなければできません。不動産の名義が夫のみの単独名義の場合は、妻の意思だけで勝手に売却することはできません。また、夫婦の共有名義の場合は、夫婦共同で売却する必要があります。

そのため、まずは不動産の名義人を確認し、売却する権利を誰が持っているのかを確認しましょう。

任意売却後にローン残債がある場合は支払いを続ける必要がある

不動産売却後に住宅ローンが残る場合は、引き続き返済する必要があります。

住宅ローンの組み方には、単独(夫か妻どちらかのみの名義)もしくは連帯債務型(夫と妻の二人の名義)がありますが、どの方法を選択したかによって離婚後の支払い義務の所在が変わります。なかでも、夫婦で「連帯債務者」や「連帯保証人」になっている場合は双方に支払い責任が及ぶため、トラブルの原因となりがちです。

それぞれのローンの組み方によってどのような特徴があるのか見ていきましょう。

◆単独名義

夫または妻が単独でローンを組む方法です。どちらかに十分な収入があり、金融機関から了承を得られると単独で住宅ローンを利用できます。離婚後は名義人のみに返済義務があります。

◆連帯債務

1つの住宅ローンの借入契約において、債務者(借りる人)が複数になる形です。連帯債務にすると、夫と妻の収入を合わせて審査してもらえるので、単独で住宅ローンを組むよりも借入金額を増やすことができます。

連帯債務の場合、それぞれの債務者が住宅ローン全額の負債支払義務を負うことになります。負担の割合に決まりはありません。つまり、どちらかが支払えなくなっても、残りの1人が全額返さないといけなくなります。

◆連帯保証

夫婦どちらかが単独で借入をしますが、もう片方が「連帯保証人」として支払いを保証するものです。連帯債務と違い、主債務者は1人です。ただし、もう片方がその支払いを保証しているので、主債務者が支払いをしない場合には、連帯保証人が返済をしなければなりません。もしも債権者の求めに応じて全額の住宅ローンの支払いをした場合、主債務者に対して支払った全額の返還を求めることができます。

◆ペアローン

1つの家に対し二人で2本のローンを組む形式。ペアとなった二人は互いに連帯保証人となります。同居親族だけがペアとなれますが、原則夫婦か親子です。2本の住宅ローンであるため、二人とも団体信用生命保険に加入でき、住宅ローン控除も利用できます。

ペアローンは支払う割り合いが夫婦間できっちり決められるのに対し、1本の住宅ローンを二人で返済する連帯債務では互いに住宅ローン全額に対して責任を負う点が大きな違いです。

夫婦連帯で責任を負っている場合、離婚をしてもローン完済までは支払い責任から逃れることはできません。住宅ローンの借り換えや、連帯債務から単独債務への変更が可能な場合もあるので、詳しくは金融機関に相談しましょう。

離婚届提出前の財産分与で課税される可能性も

家の売却には、金額や内見スケジュールの調整など確認事項が多数発生します。お互いに納得のいく売却ができるよう、連絡が取れる離婚前に売却を完了させるのが無難です。

なお、家の売却益を財産分与する場合は、必ず離婚届を提出し、戸籍を分けてからにしましょう。婚姻中に財産を移すことは「贈与」とみなされ、贈与税・不動産取得税が課税される可能性があります。ただし、オーバーローンで任意売却を選択した場合は財産分与の対象には含まれないため、離婚前でも離婚後でも変わりはありません。

不動産売却・買取のご相談は協和住建へ

今回は、離婚に伴って家を売却する際の方法と注意点についてご案内しました。

以前は相続された不動産に関するご相談が多い印象でしたが、最近では20〜30代の若い世代の離婚が増え、「離婚による家の売却」のご相談も増加傾向にあります。ご家族やご友人に相談しにくいお悩みも、知見のあるスタッフがサポートしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

私たち協和住建は、創業から20年以上にわたって新潟県の不動産を取り扱ってまいりました。お客様との距離が近い地域密着型の会社だからこそ、不動産売買に関するサポートも柔軟に行っています。弊社が持つノウハウを生かし、お客様一人ひとりのご要望に合わせて最良の提案をさせていただきます。

不動産の売却・買取を考えている方は、お電話やお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

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