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2023.06.27
不動産相続における相続登記の義務化決定|気になる罰則や注意点を解説
不動産を相続された方が行う手続きの一つ「相続登記」。
これまでは行わなくても罰則はありませんでしたが、法改正により相続登記や住所移転登記に具体的な期限が定められました。これにより、申告が遅れてしまうとペナルティーを科せられることになります。
相続登記が義務化されたことによってどのような対応が必要になるのか、詳しくご紹介していきます。
不動産の「相続登記」とは
相続手続きを経験したことがなければ、相続登記を知らないという方も多いはずです。
まずは相続する際の手続きの一つである相続登記について説明します。
相続登記=不動産を相続したら行う「名義変更」のこと
相続登記とは、土地・マンション・一戸建ての所有者が亡くなった時に相続人の名義に変更する手続きのこと。
親や配偶者などから相続した相続財産に不動産が含まれている場合は相続登記をする必要があります。
土地や建物の所有者の情報は法務省の登記簿によって管理されているため、手続きは法務局で行います。
相続登記の義務化はなぜ始まるのか?
登記簿の情報は、不動産売却や利活用、担保に入れる際にも必要となります。
これまで法的ルールがなかった相続登記が義務化された背景には、近年増加している「所有者不明土地」があります。相続登記が行われず、所有者が特定できない空き家や空き地が増えてしまったことで、適切な活用や不動産取引ができず、都市開発の妨げにもなっているのです。
不動産を含む相続が発生する際には、トラブルを回避するためにも相続登記がとても重要です。
相続登記の義務化はいつから?どのように変わる?
繰り返しになりますが、法改正によって相続登記の申請が義務化されます。
相続登記の義務化が始まることで、どのようなペナルティーが発生するのでしょうか。
相続登記の義務化は2024年4月から
2021年4月、民法や不動産登記法などの一部を改正する法律が成立しました。
この法改正によって相続登記の義務化が決定し、2024年4月1日(令和6年) から施行となります。
施行後は「相続の開始及び所有権を取得したと知った日から3年以内」に登記を済ませる必要があります。
過去に相続した不動産も対象
相続登記義務化の対象となるのは、不動産を取得した相続人です。
注意したいのが、施行日(2024年4月1日)以前に相続が発生していた方も相続登記義務化の対象になるということ。原則、改正法の施行日から3年以内に相続登記を行わなければいけなくなりました。
同時に義務化された住所変更登記は、施行日から2年間の猶予期間が与えられます。
登記をしないと罰則が科される
相続登記の義務化により、定められた期間内に登記手続きをせず、氏名・住所の変更手続きを行わない場合は罰則が適用されるようになりました。
正当な理由もなく3年以内に登記手続きをしなかった場合、10万円以下の過料(金銭の納付)の対象となります。
遺言などの遺贈によって所有権を取得された方も同様です。
相続登記の義務化に先行して「相続土地国庫帰属制度」開始
相続登記の申請をしていない方には、「相続したものの、使えないから登記申請をしていない」という方が多いようです。
そのような場合には、相続登記の義務化に先行して2023年4月から開始された「相続土地国庫帰属法」で、不要な土地を国に返すことができるようになりました。
この制度は「無条件で土地の相続を放棄できる」というものではなく、土地審査の手数料や管理コストを基に計算された10年分の費用を負担金として支払う必要があり、放棄の認められない土地もあります。適用されるかどうかは、事前に調べておきましょう。
相続登記の義務化によって気を付けるべき注意点
相続登記の申請期限に遅れて罰則を科せられないように、押さえるべき3つの注意点に触れていきます。
遺産分割の協議が難航していても登記が必要
相続人同士で遺産分割の協議が完了した場合、その結果を反映した登記手続きを行う必要があります。
もしも協議が難航して申請期限を迎えてしまいそうな場合、「相続人申告登記」の手続きを行うことで義務を履行したことにできます。
相続人申告登記は今回の法改正後、新たに作られた登記。2023年4月1日から開始されます。
相続人が登記名義人の法定相続人であることを申し出て、登記官(法務局に勤務する法務事務官)がその方の氏名や住所などを職権(地位にもとづき実施できる権限)で登記します。
その他にも、相続人申告登記には以下の特徴があります。
- 持ち分は登記されない
- 単独で申告できる
- 添付書面が簡略化されている
- 非課税
相続人申告登記を行った後、遺産分割の話し合いが決着したら「遺産分割の日から3年以内」に相続登記の申請をすることが義務づけられています。こちらも忘れないよう気をつけましょう。
住所等が変わった場合でも登記が必要
これまでは住所変更登記も義務ではありませんでしたが、今回の法改正では登記簿上の所有者の住所等が変わった場合、その申請登記が義務化されます (2026年4月までに開始予定)。
住所等の変更登記についても、正当な理由のない申請漏れは5万円以下の過料の適用対象となってしまうので注意しましょう。
登記官は職権で登記を変更できる
登記官が他の公的機関から名義人の死亡や転居などの情報を取得した場合、職権で例外的に登記簿に変更を加えることができるようになります。
ただし、個人情報保護の観点から、登記官は名義人に住所等の変更の了解(申出)を取った上で変更の登記を行うことになっているのでご安心ください。
不動産売却・買取のご相談は協和住建へ
今回は、2024年4月から施行される相続登記の義務化について、詳しくご紹介しました。
相続した不動産を登記せずに放置してしまうと、過料の対象となってしまうかもしれません。全国で急増する所有者不明土地を減らし、より有効に活用していけるように、登記手続きは期間内に行いましょう。
私たち協和住建は、創業から20年以上にわたって新潟県の不動産を取り扱ってまいりました。お客様との距離が近い地域密着型の会社だからこそ、不動産売買に関するサポートも柔軟に行っています。
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