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2023.01.23
不動産売却で発生しやすいトラブルとその対処法を解説|契約・売却・引き渡し時に気を付けるポイントとは?
不動産売却では大きな金額のやり取りを行うため、トラブルが発生しやすいのも事実。その相手は不動産の買主だけでなく、仲介する不動産会社や近隣住民など、さまざまなパターンが考えられます。大きな損害を出してしまう前に「不動産売却のトラブルはどのように回避できるのか?」「トラブルに遭ってしまった場合はどのように対処すればいいのか?」を確認していきましょう。
不動産売却で発生しやすい「買主とのトラブル」
不動産売却に関するトラブルは幅広くありますが、その中でも買主とのトラブルが最も多いと言われています。
不動産流通推進センターが毎年発行している『不動産業統計集』によると、「主要原因別紛争相談件数(不動産売却で発生する主なトラブルの件数)」は、例年「重要事項説明等(重要事項の不告知を含む)」がおよそ4割を占め、次いで多いのが「契約の解除(ローン不成立の解除を含む)」となります。
特に気を付けたいのが「重要事項説明」
不動産売却では、買主が決定した際に売買契約を交わすのですが、不動産会社はその前に「重要事項説明書」という書類を発行し、買主に説明を行います。
不動産は専門性が高く、高額な金額のやり取り。そのため、国は法律で不動産業者に物件などの重要事項を買主に説明するよう義務付けています。ちなみに、書面の説明や記名押印は、宅地建物取引士が行うのが一般的です。
重要事項説明とは、物件や取引条件に関する詳細情報と注意事項を事前に共有することを指します。買主に対し、事前に伝えるべき情報をまとめたものが重要事項説明書です。日当たりや騒音の有無など、生活をする上でリスクになってしまう要素はないか、また、過去に該当物件で事故や事件が起きていないかも伝えなければいけません。
重要事項を不動産会社が買主に伝えてくれない、事実と違う内容が盛り込まれているといった不動産会社による不正が判明した場合には、建築相談にも対応している都道府県庁の建築指導課へ相談をしてみましょう。違約金の支払いに発展してしまっては手遅れです。
売主と買主との間で後から「言った」「言わない」とトラブルが起きてしまわないように、不動産会社に任せっきりにするのではなく、自身でも重要事項説明書の内容を必ず確認しましょう。
売買契約後に起こる「契約の解除」
売買契約を締結してから解約となるケースも実は多くあります。そのほとんどは買主の住宅ローン審査が通らなかった場合。一般的にはローン特約によって問題なく契約解除へ進みますが、仲介を依頼された不動産会社によっては対応が不十分な場合もあるので注意が必要です。
契約解除自体は違法ではないため、正しい手順さえ踏んでいればキャンセルはいつでも可能となります。この時、注目すべき点は手付金・違約金です。
契約時に買主が売主に支払う購入価格の一部(相場は全体の1割程)で、契約を解除することができます。
①買主の意思でキャンセルをする場合 → 手付金をそのまま売主に納める
②売主の意思でキャンセルをする場合 → 手付金を2倍にして買主に返還
上記の手続きが認められれば、契約はスムーズに解除できます。
しかし、虚偽の内容があった場合など、契約違反が発覚した場合は強制的に契約解除をすることも可能です。契約違反による解除は手付金ではなく、違約金を片方に支払うことで成立します。この違約金は、だいたいが手付金の2倍(売却価格のおよそ2割)で設定されます。
売買契約の解除で支払われる手付金や違約金は、売主と買主の話し合いで決めることが可能です。金額が安すぎては簡単に解除されてしまいますし、高すぎる金額に設定してしまうと、もしもの時に自分の首を絞めてしまうことになるかもしれません。買主との話し合いを細部まで行い、適切な金額設定を行いましょう。
また、手付金・違約金の金額が契約書に記載されているかも必ず確認しましょう。契約書に記載がなかった場合は相手の拘束力がなく、契約解除時に必ずトラブルの元になってしまいます。
後からの発覚を防ぎたい「瑕疵担保責任」トラブル
売買契約後・不動産の引き渡し後でも、予期せぬ欠陥が判明した場合は、補修を買主は売主に依頼することができます。このような土地や不動産の引き渡し後に売主が負う責任を「瑕疵(かし)担保責任」と言います。
「瑕疵」は傷や欠点のこと。雨漏りや虫食いなどがイメージしやすいかもしれませんが、住宅の構造上の欠陥を表す「物理的な瑕疵」、近隣に迷惑行為を行う住民がいるなど精神的に影響が及ぶ「心理的な瑕疵」、道路工事等を理由に撤去が決まっていた場合は「法律的な瑕疵」に当たるなど、瑕疵と一言で言ってもさまざまなケースが考えられます。
土地や住宅に欠陥がある場合、売主は買主に説明する義務があり、もしも隠していた場合は瑕疵担保責任を問われる可能性があります。
また2020年4月の民法改正によって「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」と表現方法が変わり、これまで以上に買主保護の観点が強くなった背景もあります。
売主は物件状況確認書に嘘偽りなく詳細を記入すること、そして、トラブルを招かないためにもホームインスペクション(住宅診断)の実施や住宅売買の瑕疵保険への加入を検討するのも一つの手段です。
違法な請求をされる場合もある「不動産会社とのトラブル」
売却活動の仲介に入る不動産会社との間にも、さまざまトラブルが発生しています。知識が多岐に必要となる不動産売却において、不動産会社は最も頼りになる存在であるはずですが、パートナー選びを間違ってしまうと大きな損害に発展する恐れもあるのです。
知っていないと損をする「仲介手数料」のトラブル
不動産売買において、悪徳な不動産会社が取る手口の一つに仲介手数料の法外な請求が挙げられます。仲介手数料は法律で割合が決まっているため、違法な金額を請求されていないか確認しましょう。
▼仲介手数料の上限額
売買価格 |
報酬額 |
200万円以下 |
取引額の5%以内 |
200万円超400万円以下 |
取引額の4%以内 |
400万円超 |
取引額の3%以内 |
売買価格が400万円を超える場合は、以下の速算式で求めることもできます。
仲介手数料=(売買価格×3%+60,000円)+消費税
消費税10%であれば 仲介手数料=売買価格×3.3%+66,000円 となりますので、たとえば不動産の売買価格が2,000万円だった場合の仲介手数料は下記のようになります。
仲介手数料=2,000万円×3.3%+66,000円=726,000円
このように不動産売買で発生する仲介手数料には決まった計算式があることを知っていると、いざという時に便利です。
なお、不動産会社に敬遠されがちな空き家問題の対策として「空家等の売買又は交換の媒介における特例 」が定められています。この特例では、不動産の売却額が400万円以下の場合に、仲介会社は売主側から最大で18万円受け取ることができます。特に新潟などの地方の空き家は購入希望者が見つかりにくい上、物件価格が低いため、調査費や交通費といった諸費用で仲介会社に赤字が発生することもめずらしくありません。その救済策として設けられている特例ですので、こちらは覚えておくとよいでしょう。
いずれの場合も仲介手数料の支払い時期について事前にチェックしておくと安心です。売買契約時にするのか決済時にするのか、あらかじめ決めておきましょう。また、仲介手数料はあくまでも売買契約が成立したことに対する不動産会社への報酬です。契約が解除になってしまった場合でも、不動産会社から仲介手数料の支払いを求められた場合は支払いが必要となります。
支払いは誰がするの?「広告料」のトラブル
不動産を売買する際、インターネット上に情報を掲載する、チラシを作成するといった広報活動も必要になります。これらの活動は不動産会社が中心になって行い、費用も不動産会社が負担するのが一般的です。仲介契約として、不動産会社は売主や買主から仲介手数料以外の料金を受け取ることはできないためです。
しかし、契約時に説明もせず、後から広告料や手数料として仲介手数料以外の費用を請求してくる悪質なケースも確認されています。可能な範囲で、契約時に広報活動にかかる費用についても確認しておきましょう。
心地よく暮らすためにも回避したい「近隣住民とのトラブル」
不動産を売りに出した際に、近所の方々との間でトラブルが発生する場合もあります。近隣住民とのトラブルにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
戸建てによくある「土地の境界」トラブル
自分の土地だと思っていた敷地が、「実は隣の家の土地だった」という展開は意外とよくあるものです。土地には「筆界」と「所有権界」という2つの境界があります。筆界とは登記簿上の境界。所有権界は隣接地所有者との間で合意した境界です。
通常ではそれぞれの境界は一致しているはずですが、所有者間で認識にずれがあったり、長い年月が経過して曖昧になっている場合もあります。境界線がずれていると、土地の範囲や資産価値に大きな影響を及ぼすため、トラブル回避のためにも事前に土地家屋調査士に境界確定測量を依頼しましょう。
古い土地であれば境界をちゃんと計測していない可能性も考えられるので、不動産売却をお考えの際は近隣住民の了承を得て土地測量を依頼することをおすすめします。
すぐに売買できない「底地権・借地権」トラブル
相続した不動産によくあるトラブルとして底地権・借地権があります。簡潔に言うと、「底地権」=土地所有者の権利、借地権=土地利用者の権利です。地主が近隣に住んでいない場合もあり、近隣住民の方とのトラブルとは一概には言えませんが、不動産売却で起こりがちなトラブル事例の一つです。
借地権を持っていればその土地に家を建てたり、倉庫を建てたりと自由に過ごすことができますが、土地所有者ではないため不動産売却を進めることはできません。逆に、底地権のみ所有している場合にも、勝手に売却することはできません。
地主から底地権を買い取る、もしくは底地権と借地権を交換することが解決の近道となりそうです。
不動産売却におけるトラブル回避のコツは「タイミング」
ここまで買主・不動産会社・近隣住民と、相手の異なる不動産売却のトラブル例をチェックしてきました。こうしたトラブルを回避し、不動産売却をスムーズに進めるためには、トラブルが起こるタイミングを把握しておきましょう。
不動産売却前に注意するべきトラブル
・土地の境界トラブル
・底地権・借地権のトラブル
→近隣住民とのトラブルを回避するのに重要なのは不動産売却前の準備段階です。売却活動を始める前に土地の境界や各権利の詳細を調べ、結果が出てから動き出しましょう。近隣住民との問題を抱えたままでは後々問題が大きくなってしまう可能性が高いので注意が必要です。
不動産売却の手続き中に注意するべきトラブル
・仲介手数料のトラブル(仲介手数料の金額、支払いのタイミングなど)
・広告料のトラブル
→不動産会社とのトラブルを回避するのに重要なのはこのタイミング。不動産会社と契約を行う際には、あらかじめ確認事項を明確にしておきましょう。契約締結後には、契約内容を撤回することはできません。
不動産売却後に注意するべきトラブル
・瑕疵担保責任のトラブル(特にマンション売却の方)
→買主とのトラブルを回避するのに重要なのはこのタイミング。なかでもマンション引き渡し後の騒音に関するクレームが頻繁に起きています。隣の部屋からの物音、外の話し声など、想定できる範囲の騒音は仕方がないものですから、クレームが出たとしても毅然とした対応を心がけましょう。常識外の騒音や隣人トラブルなど、重要事項説明で先に告知ができていなかった場合は損害賠償請求や契約解除につながってしまいます。
さらに、「壁内部の配管が破損していた」といった売主では気付けなかった「隠れた瑕疵」が発覚した場合にも多くの場合は売主の瑕疵担保責任となり、支払いが必要となります。
売主が瑕疵担保責任を負う範囲については売買契約時に特約を結ぶこともあるので、契約書の内容確認が重要です。困った時は不動産会社の相談窓口へ相談することもできます。
不動産売却・買取のご相談は協和住建へ
今回は、不動産売却において発生しやすいトラブルについてご紹介しました。トラブル回避に最も有効な方法は、やり取りの内容を記録し、しっかりと確認・把握することです。発生しないに越したことはありませんが、万が一起きてしまった場合には頼れる窓口がありますので、一人で悩まず、信頼できる専門家へ相談しましょう。
私たち協和住建は、創業から20年以上にわたって新潟県の不動産を取り扱ってまいりました。お客様との距離が近い地域密着型の会社だからこそ、不動産売買に関するサポートも柔軟に行っています。人生に一度、あるかどうかの不動産売却の機会を納得いく形で終えられるよう最大限サポートいたします。
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